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初版購入 購入時24,000円
本書は渋沢敬三編著となっており、渋沢の死後において発刊されたものである。この書物も渋沢ならではできぬものであったといえよう。「絵引」とは字引にたいする敬三の造語で、絵によって引く事典といえようか。渋沢はこの書物の出版を楽しみにしており、書名をどのように決めたらよいかを、時々思い出したように話した。そして一つの案として「古代絵巻の民俗的解析」はどうだろうかといった。右の古代は厳密な時代を指すものではなく、古い時代という普通名詞的な用語にちかく、時代でいえば中世にあたる。そして民俗的解析というのは言いかえて妙で、日本の主要な絵巻物における民俗的な事態を抽出して、それを模写し、その全体もしくは部分に番号を付し、それぞれ名称をつけて引くことが出来るようにすることを考えた。それらを相当量集めれば、一おう年代を決めがたい民俗学もしくは民俗資料に時代性を与えることが可能であり、民俗資料を歴史資料に劣らぬ価値をもたせ得ると考えた。もちろん時代のみではなく、民俗事象の分類さらに組合せ、比較を可能とし、従来の民俗学では明らかになし得なかった領域をとりこむことができるようになる。『絵巻物による日本常民生活絵引』は、戦後、三十年ごろから、宮本常一を中心とし、画家として奥村土牛の高弟である村田泥牛が専任としてかかり、月一回の研究会において検討を重ねた。そのメンバーは、村田泥牛(模写) 有賀喜左衛門、遠藤武、河岡武春、桜田勝徳、笹村草家人、宮本馨太郎、宮本常一の八名であった。渋沢は熱心でほとんど休むことなく、病状がわるくなっても出席していた。文字どおり、敬三のライフワークにふさわしい仕事であったといえよう。
第一巻扇面古写経・伴大納言絵詞・鳥獣戯画・信貴山縁起絵巻・餓鬼草紙・北野天神縁起絵巻
第二巻一遍聖絵
第三巻粉河寺縁起絵巻・西行物語絵巻・吉備大臣入唐絵詞・馬医草紙絵巻・当麻曼荼羅縁起・伊勢新名所歌合絵巻・男衾三郎絵詞・天狗草紙絵巻・石山寺縁起絵巻
第四巻親鸞上人絵伝・後三年合戦絵巻・絵師草紙・長谷雄卿草紙・直幹申文・春日権現験記絵・福富草紙
第五巻法人上人絵伝・慕帰絵詞・融通念仏縁起絵巻
『渋沢敬三アーカイブ』より抜粋
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